旅
金曜日の真夜中だからだろうか、思った以上に、酔っ払いが多い。
酔っ払いを避けるように、狭い路地をくねくね歩いた。
あの黒電話が見えた。
あの狭い路地を左に曲がれば古本屋さんだ。
なんて思って、すこし意表を突かれた。
こんなにも見えてるんだと。
あの細い路地を進んだ先にひっそりとたたずんでいた古本屋さん。
路地を進まないと見えなかったものが、こうもはっきりと見えている。
古本屋さんは変わっていないのに、
外に何があるかでこうも印象が変わるんだと思った。
まぁ、受け手によるのだろうけど。
そんなこんなで、古本屋さんに着いたのにもかかわらず
いったん宿に戻ることになる。
お金が足りなくて、なんて。
貴重な時間が、少し減る。
0時を半分過ぎたころ。
本屋に着くのは1時だな。