あまなつ屋

思ったことを、つらつらと。

夜の海

「夜の海ってどんな気持ちになる?」

そう告げたのは、今朝、泣きそうな目をしていた女の子。

 

「海に行こうよ」

それが始まりだった。

青春18きっぷでの初めての旅。

向かった先は茨城。

 

少しばかりのお金と、チェキ。

スマホは置いてきた。

 

いろんな人に助けられながら、到着したのは19時。

あたりは暗かった。

 

「飲み込まれそうになる」

そう彼女は告げた。

 

境界線の見えない、夜の海。

どこまでもどこまでも広がる黒。

 

「私は――」

 

風と一緒に、黒の中、どこかへ行けそうだった。

暗い気持ちで。