旅
結局1時になった。
2500円をポケットに入れ、早歩きで路地と駅沿いを歩く。
あと2時間しかあの場所で本を読めないのかと思うと、少し残念な気持ちになった。
貨物列車の音が大きい。
そうして、お店の前に着いた。
常連さんとの会話が聞こえる。
少しひらいた緑色の扉に手をかける。
やっと来れたと思うと、少し緊張した。
開くと、そこには、思った以上にたくさんの本が所狭しと置かれてあった。
こんなにも本があるなんて。
どんな本があるのだろうかと心躍る。
その折、店主とあいさつ。
目線を本棚に戻す。
ファーブル昆虫記の作者、ファーブルの自伝があった。
昆虫記も読みたい本のひとつ。
わりと食い入るように読む。
が、入り口付近ではなく、奥の部屋にも行きたい。
ちょうど、店主が移動したのか、常連客同士での会話になったようだ。
ファーブルの本を棚に戻し、その隙に奥の部屋へと移動した。